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メールマガジン2021年01月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2021年01月 Vol.144

1.人事・総務ニュース

リスク管理でプログラム ~管理者の能力向上を援助~

 厚生労働省は、管理者向けの「職場リスクマネジメント力向上プログラム」を公開しました。

 

 セクハラ・パワハラ・情報漏えいなど企業ガバナンスの在り方を問われる不祥事が多発する中、企業サイドでは「職場リスクのみえる化」「管理職の危機管理能力向上」等を目指す取組が進められていますが、そうした企業ニーズに応えるのが目的です。

 

 リスクマネジメントの具体的手順としては、まず基本方針を作成した後、社内の業務ごとにリスクを洗い出します。次に、「発生可能性」「影響度」「管理の脆弱性」の3項目により評価し、取組の優先順位を定めます。

 

 それに基づき、実施計画を作成するとともに、定期的に成果目標の達成度合いを管理し、さらなる対策向上に努めます。


2%の「底上げ」目標を維持 ~連合が賃上げ要求方針~
 

 令和3年春季の賃上げ交渉は、感染症対策と経済の自立的成長の両立という困難な課題達成に向け、労使が知恵を出し合い、妥結点を見出す必要があります。

 

 連合は、来春の交渉でも「底上げ」「格差是正」「底支え」を基本的な考え方とします。底上げに関しては、「賃金カーブの維持相当分=2%の確保を前提とし、そのうえで2%程度の賃上げ」(6年連続の要求)を求める方針です。

 

 企業間格差の是正に向けた目標としては、35歳(勤続17年相当)28.7万円、最低到達水準25.8万円等の数字を示しました(前年要求水準を維持)。「底支え」では、企業内最低賃金1100円以上の協定締結を目指します。

 

 神津里季生会長は、会見で「雇用と賃上げは二者択一でないということを、社会全体がしっかりと認識していく必要がある」と強調しました。


令和3年度から10%超へ ~健保組合の財政悪化~

 健康保険組合連合会は、単年度の収入・支出がつり合う「均衡保険料率」が、令和3年度に10%を超える見通しと発表しました。

 

 経済悪化(リーマン・ショックを超えない規模と想定)による保険料収入の減少を見込み、今後3年間の収支を試算したものです。

 

 令和2年度の均衡保険料率は9.7%ですが、同3年度は10.2%、同4年度は10.5%になると予測しました。健保組合の財政は悪化が続いていて、平成31年度(令和元年度)の決算見込みでは、赤字組合の割合が3分の1を超える状況です。

 保険料率が協会けんぽ平均の10%を超えると、健保組合を運営する意義が薄れ、解散を検討する組合が増加することも予想されます。移行先となる協会けんぽの財政状況が、間接的に影響を受けるという懸念もあります。


 
雇調金の特例再延長へ ~経済団体等の要請受け~

 雇用調整助成金の特例措置は令和2年12月31日が期限ですが、政府は年明け以降の2月末まで継続する方針です。

 現在、新型コロナ特例により、助成率の拡充や上限引上げ等の緊急措置が講じられています。中小企業で、解雇等を行わず雇用を維持した場合、日額1万5000円を上限に全額助成が行われています。


 令和3年1月から段階的に縮小する方針でしたが、11月に入って感染者数が過去最多を更新するなか、現行水準の助成措置を維持すべきとしています。


 経団連も、経済の先行き不透明で雇用情勢も予断を許さないため、特例延長を要請していました。雇調金の支給実績は10月末時点で2兆円を超えています。



2.職場でありがちなトラブル事情

ミス常習犯を契約社員に ~正社員から降格~

 金融会社で正社員として働くAさんは、仕事熱心ではあるものの、うっかりミスの常習犯。入社して3年がたっても、顧客からのクレームが頻発していました。

 

 やる気が空回りし、疲労の蓄積から、欠勤する日も増えていました。会社としては、業務量が減少していることもあり、本人に対し、退職を勧告しました。

 

 しかし、合意を得られないため、会社は契約社員への降格を通告しました。当然、賃金も減少します。

 

 Aさんは、一方的な降格は納得できないとして、あっせんの申請を行いました。

 
従業員の言い分

 仕事面での能力不足は自分でも痛感しているところですが、自活のために、労働条件の引下げを受入れるのは難しいのが実情です。

 

 できれば正社員への復職を望みますが、雇用の確保が約束されるのであれば、補償金の額については、それほど多くは望みません。


事業主の言い分

 就業規則には「勤務成績に応じて降格もあり得る」旨規定していますが、本人の体力的な問題も考慮し、「労働時間も減り、ムリなく働ける契約社員への変更」を決定したものです。

 

 正社員にこだわるのであれば、退職という方向で考えるほかありません。しかし、勤務態度は評価しているので、補償金の要求には応じてもよいと考えています。


あっせんの内容

 正社員復職については、合意の見込みがないため、雇用の継続という線で、落としどころを探りました。  Aさんの側から「15万円程度の補償金であれば」という妥協案が示されたので、会社側の意向を確認し、和解手続きを進めました。

 
結果

 Aさんの「契約社員」としての地位を確認し、解決金として会社側が15万円を支払うという合意文書が交わされました。



3.厚労省「令和2年・就労条件総合調査」

 働き方改革関連法により、平成31・令和元年度から、「年5日の年休の確実な取得(使用者による時季指定)」が義務付けられました。

 

 事前のPR活動等も功を奏し、平成31・令和元年(または平成30会計年度)1年間の年休取得率は56.3%で、前年比3.9ポイント増加しました。

 取得率(消化率)は、1年の取得日数(10.1日)を付与日数(18.0日。繰越し分は除きます)で除して算出します。

  

 取得促進の有力策の一つとして、計画的付与制度の整備・拡充が挙げられます。計画的付与を実施すれば、その日数が「5日」から差し引かれ、使用者の時季指定負担が軽減されるからです。

 年休の計画的付与制度がある企業割合は43.2%で、前年(平成30年)の22.2%から倍増しています。





4.身近な労働法の解説 ~衛生委員会~

 一定規模以上の事業場では、労働安全衛生法(以下「安衛法」)に基づく衛生委員会を設置しなければなりません。今回は、衛生委員会について解説します。

1.衛生委員会を設置する事業場(安衛法18条1項)

 衛生委員会は、全業種について、当該事業場において日雇労働者、パートタイマー等の臨時的労働者の数を含めて、常態として使用する労働者の数が50人以上の場合に設置する義務があります。

 衛生委員会では、労働者についての①〜④を調査審議させます。
① 健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること
② 健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること
③ 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること
④ 前①〜③に掲げるもののほか、健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項※

 ※重要事項の例(詳細は安衛則22条(衛生委員会の付議事項)参照)
衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること
定期健康診断等の結果に対する対策の樹立に関すること
長時間にわたる労働による健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること
労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること



2.衛生委員会のメンバー(安衛法18条2項)

1.総括安全衛生管理者、または当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者、もしくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者1名(議長)
2.衛生管理者のうちから事業者が指名した者
3.産業医のうちから事業者が指名した者
4.当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者

議長以外の委員の半数については、過半数労組(過半数労組がない場合は労働者過半数代表者)の推薦に基づき指名しなければならないとされています。


つまり、議長以外の委員の半数は労働者代表の推薦に基づき指名しますので、使用者側2名(②③)、労働者側2名(④)に議長(①)を加えた5名体制が衛生委員会の最少メンバーとなります。



3.衛生委員会の会議(安衛則23条)

 ・毎月1回以上開催しなければなりません。
・委員会の運営について必要な事項は、委員会が定めます。
・委員会の開催の都度、遅滞なく、委員会における議事の概要を、常時各作業場の見やすい場所に掲示・備え付ける、書面を労働者に交付するなどして労働者に周知させなければなりません。
・委員会における議事で重要なものに係る記録を作成して、3年間保存しなければなりません。

4.その他

 安全委員会および衛生委員会を設置する業種・規模の場合、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができます(安衛法19条)。


労働者数が50人未満の事業場など、安全委員会・衛生委員会を設けるべき事業者以外の事業者は、安全または衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければなりません(安衛則23条の2 ) 。



5.実務に役立つQ&A

80時間以上カウント? ~失業給付に12カ月必要だが~

  雇用保険の失業給付を受給するために必要な被保険者期間を計算するうえで、仕組みが変わったといいます。賃金支払基礎時間80時間以上の月を、離職日からさかのぼる形でカウントしていけば良いのでしょうか。


 失業給付の受給には、原則として、離職の日以前2年間に被保険者期間が12カ月以上必要です(雇保法13条1項)。


 離職の日からさかのぼった各月をみて、賃金支払基礎日数が11日以上あるものを1カ月と計算するルールでしたが、離職日が令和2年8月1日以降のときには、賃金支払基礎時間数が80時間以上を1カ月として計算する仕組みが設けられました。


 時間数をカウントするのは、被保険者期間が原則の12カ月に満たないなど、基本手当の受給資格を満たさない場合です。


 離職証明書の具体的な書き方ですが、賃金支払基礎日数11日以上の完全月が12カ月(高年齢被保険者等は6カ月)以上ないとき等は、基礎日数が10日以下の期間について、当該期間における賃金支払いの基礎となった時間数を記入します。


6.助成金情報 ~副業・兼業労働者の健康診断助成金~

 複数の事業所に勤務しており、どの事業所においても所定労働時間が短いために定期健康診断の対象とならない40歳未満の労働者に対して一般健康診断を実施した事業主に、その費用が助成されます。


1.対象となる事業主

・労働保険の適用事業場であること
・一般定期健康診断の実施対象となっていない労働者等に対して一般健康診断を実施した事業主
・申請の前年度より前のいずれかの年度の労働保険料の滞納が継続している事業主でないなど不支給要件に該当しないこと


2.対象となる措置

1.定期健康診断の対象となっていない副業・兼業労働者に対して、一般健康診断を実施すること
2.一般健康診断の実施等を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であること

(対象となる副業・兼業労働者)
・2つ以上の事業者に雇用されている者
・40歳未満であること(健康診断を実施する年度に40歳の誕生日を迎える人を除く)
・本業副業を問わず雇用されているすべての事業場において、週の所定労働時間数が当該事業場における同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3未満であること

(一般健康診断)
安衛法第66条に基づき事業者が労働者に対して実施しなければならない健康診断
本助成金が対象とする健康診断は、「定期健康診断」


3.助成金額

副業・兼業労働者一人につき10,000円を上限として健康診断費用の実費
※労働者一人につき年間1回限り
1事業場あたり年間100,000円を上限とする


4.手続など

 一般健康診断実施後所定の申請期間内に必要書類を添えて支給申請

 (添付書類の例)
・一般健康診断の診断項目や実施期間、費用額が確認できる契約書等の写し
・一般健康診断実施者へ支払った費用の領収書の写し
・当該労働者の年齢が確認できる書類
・当該労働者の本業・副業の事業場の実労働時間がわかるタイムカード等


7.今月のコラム  ~日本入国時の14日間待機~

 新型コロナウイルスの影響により、現状では全世界からの日本入国が原則禁止となっていますが、以下の3つの方法でそれぞれ定められた要件を満たした人については入国が認められています。


1.レジデンストラック
2.ビジネストラック
3.「全世界の国・地域からの新規入国を可能にする措置」


 それぞれ要件の違いはありますが、共通している部分は日本への入国後14日間の待機が必要という点です。特にビジネス目的で日本に入国する場合には、招へい企業がホテル等の宿泊施設の準備、空港への送迎などをしなければならず、ご担当者様にとっては大きな負担となるものです。


 ACROSEEDではJTBグループの「株式会社 JTB グローバルマーケティング&トラベル」と提携することによりこのような手間を省き、ビザ申請から日本での14日間待機までをサポートできる体制を整えました。


 詳細については以下の専用ページをご覧下さい。
コロナ渦における外国人社員の入国手続きサポートサービス


 昨年の今頃はまさか新型コロナウイルスがここまで長期化するとは考えていませんでしたが、今後はこの状況が数年続くことも視野に入れていかなければならない状況です。この状況が日常化した場合のことも視野に入れてビジネスプランを考える必要が出てきているようです。

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