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メールマガジン2021年11月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2021年11月 Vol.154

1.人事・総務ニュース

公取委が「最賃引上げ対応」 ~中小相手の取引公正化へ~
 

 今年10月の地域別最低賃金引上げは、過去最高の28円の上げ幅となりました。公正取引委員会は、中小企業に不当なしわ寄せが及ばないように、「中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」をまとめました。


 関係省庁連絡会議のワーキンググループが、今年8月に「9月を『価格交渉促進月間』とする」決定を行いましたが、アクションプランはその取組みの一環です。

 

 関係省庁連絡会議のワーキンググループが、今年8月に「9月を『価格交渉促進月間』とする」決定を行いましたが、アクションプランはその取組みの一環です。


 全国9カ所に相談窓口を設置するほか、オンラインによる相談会も実施します。「下請事業者が、最賃引上げ対応のため単価アップを求めた際、親事業者が一方的に単価を据え置くのは、『買いたたき』に該当」等のQ&Aも作成し、周知を図ります。



「オンライン自主応募」も可能に ~ハローワークインターネット~
 

 令和3年9月から、ハローワーク利用者(求人・求職者)に対するインターネット機能が拡充されています。

 

 「オンライン自主応募」は、求職者がハローワークを介さずに求人者マイページ(サービスをオンライン上で受けられる事業者向けの専用ページ)を通して直接応募できる仕組みです。事業者はマイページで「自主応募を受け付ける」という設定を選択しておきます。

 

 「自主応募」は職業紹介に該当せず、事業者はマイページのメッセージ機能を使い、速やかに応募者と面接日時等を決めます。ただし、この方式による採用は特定求職者雇用開発助成金等の対象にならない点は注意を要します。

 

 求人者マイページを通して、オンラインで職業紹介を受けることも可能です(オンラインハローワーク紹介)。ハローワーク職員が求人・求職者の適合性を判断して紹介を行いますが、オンライン上で手続きが完了するので、採用業務の効率化が期待できます。



未払残業400万円支払え ~コロナ解雇後に争い~

 健康美容メーカー勤務の従業員が、新型コロナの影響で解雇された後に未払い残業代の支払いなどを求めた事件で、東京地方裁判所はメーカー側に400万円の支払いを命じました。

 病気で9日間休んだ後に出勤したところ、会社から「コロナによる事業縮小」を理由とする解雇通知書を交付されました。

 

 同社店舗では、「営業開始時刻の45分前には朝礼があり、遅刻者は店舗に連絡を入れる」とされていた点等を考慮し、裁判所は「少なくとも出社を黙示には指示・命令していた」と指摘し、2年間の未払い残業代の請求を認めました。


 さらに解雇予告手当も支払われておらず、割増賃金と予告手当の不払いに正当な理由もないとして、労基法114条で定める付加金を合わせ、約400万円の支払いを命じたものです。



2.職場でありがちなトラブル事情

派遣先上司に耐えられない ~「無策」の派遣元に賠償請求~

 Aさんは人材ビジネス会社B社に雇用され、大学図書館に派遣されていました。仕事は受入れ目録の作成業務でしたが、派遣先の指揮命令者の態度が高圧的です。

 

 些細なことで怒鳴ったり、暴言を吐いたりし、とても耐えられない状況です。Aさんは、派遣元のB社に対し、職場環境の改善を訴え、それが難しいなら派遣先を変更してほしいと申し入れました。

 

 しかし、会社から何のアクションもなく、派遣先の指揮命令者の態度に変化はありません。派遣先変更の件も、なしのつぶてです。

 

 Aさんはやむなく退職を決断するとともに、残りの雇用期間に対する補償を求めて、都道府県労働局の紛争調整委員会にあっせんの申出をしました。

従業員の言い分

 人材ビジネス会社は、人材を他者に送り出すことで利益を得ているのですから、勤務先が他社であっても、その職場環境に責任をもってしかるべきと思います。

 

 それなのに、派遣社員がパワハラまがいの対応を受けていても、何ら対応を採ろうとしてくれません。1年契約の残りが4カ月あるので、その期間の補償を要求します。


事業主の言い分

 Aさんの苦しい心情も理解できますが、職場環境の改善、新しい派遣先の開拓、いずれも相応の期間を要します。そうした事情を考慮せず、「直ちに結果を示せ」と迫られても、困惑するばかりです。

 

 当方としては、できる限りの努力はしたつもりです。後は、紛争調整委員会の場で、公正な解決方法を探りたいと考えています。


あっせんの内容

 Aさんに対し、「すぐに次の仕事がみつかる保証はないのだから、期限を切って、現在の派遣先で働くのが得策ではないか」とアドバイスしました。


 しかし、今の仕事は続けられない、既にB社で就労する気持ちも失ったという回答だったので、労基法の解雇予告手当の額も踏まえ、金銭解決する方向で話し合いを促しました。


結果

 B社がAさんに対し解決金として30万円を支払うことで両者が合意し、和解文書を作成しました。。



3.最高裁「令和2年度・司法統計」

 労働審判制度は、解雇や給与の不払い等のトラブルについて、原則3回以内の審理で速やかな解決を図る仕組みです。

 

 最高裁判所の集計によると、令和2年度、地方裁判所が新規に受け付けた労働審判の事件数は3907件となり、制度創設(平成18年)以来、最高を記録しました。




 事件の内訳をみると、地位確認(解雇の有効性を争う)が1835件で、前年度比15.7%の大幅増となっています。背景には、新型コロナウイルスの影響による不当な人員調整等の実態があるとみられます。


 労働審判に持ち込まれた事案は、調停により解決するのが大多数です。しかし、令和2年度は調停成立がそれまでの70%台から60%台に低下しました。


 一方、労働関係の第1審訴訟も3960件となり、平成4年以来、最高の水準となっています。


 こちらも、和解で終結するのでなく、「判決が出るまで争う」傾向が見受けられます。令和2年度は処理件数も大幅に減少し、争いの長期化がうかがえます。





4.身近な労働法の解説 ~労働時間等に関する規定の適用除外②(高プロ)~

 労基法41条の労働者のほか、労働時間等に関する規定を適用しない場合があります。今回は、労基法41条の2に規定される「高度プロフェッショナル制度」について解説します。


1.高度プロフェッショナル制度とは

 自律的で創造的な働き方を希望する労働者が、高い収入を確保しながら、メリハリのある働き方をできるよう、本人の希望に応じた自由な働き方の選択肢を用意するものです。


 労使委員会の決議および労働者本人の同意を前提として、年間104日以上の休日確保措置や健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置等を講ずることにより、労基法に定められた労働時間、休憩、休日および深夜の割増賃金に関する規定を適用しない制度です。



2.対象業務

 具体的な対象業務は次のとおりです。部署が所掌する業務全体ではなく、対象となる労働者に従事させることとする業務です。対象業務に従事する時間に関し使用者から具体的な指示※を受けて行うものは含まれません。


① 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
② 資産運用(指図を含む)の業務または有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断に基づく資産運用の業務、投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務または投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引の業務
③ 有価証券市場における相場等の動向または有価証券の価値等の分析、評価またはこれに基づく投資に関する助言の業務
④ 顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査または分析およびこれに基づく当該事項に関する考案または助言の業務
⑤ 新たな技術、商品または役務の研究開発の業務


 ※「具体的指示」とは、労働者から対象業務に従事する時間に関する裁量を失わせるような指示をいいます。例えば、「出勤時間の指定等始業・終業時間や深夜・休日労働等労働時間に関する業務命令や指示」「対象労働者の働く時間帯の選択や時間配分に関する裁量を失わせるような成果・業務量の要求や納期・期限の設定」「特定の日時を指定して会議に出席することを一方的に義務付けること」「作業工程、作業手順等の日々のスケジュールに関する指示」などが考えられます。



3.対象労働者

 高度プロフェッショナル制度は、高度の専門的知識等を有し、職務の範囲が明確で一定の年収要件を満たす労働者を対象としています。


 対象労働者の範囲は、労使委員会の決議で明らかにしなければなりません。また、対象労働者は「対象業務に常態として従事していること」が必要です。対象業務以外の業務にも常態として従事している者は対象労働者とはなりません。対象労働者の要件は、次のとおりとされています。


① 使用者との間の合意に基づき職務が明確に定められていること
② 年収※が1,075万円以上であること ※具体的な額が約束され、支払われることが確実に見込まれる賃金


4.健康・福祉確保措置

 健康管理時間(対象労働者が事業場内にいた時間+事業場外において労働した時間)の把握、年間104日以上かつ4週間を通じ4日以上の休日を与える、選択的措置(勤務間インターバルの確保〈11時間以上〉+深夜業の回数制限、健康管理時間の上限措置等)などの健康・福祉確保措置を講じなければなりません。。



5.実務に役立つQ&A

請求に際し留意点は ~繰下げ受給の手続き~

 来年4月から、年金の繰下げ受給の上限が75歳に延びます。そこで、退職者から、年金の繰下げ受給について確認したいと相談を受けました。どのような手続きが必要になるのでしょうか。


 老齢基礎年金および厚年法の本則に基づく老齢厚生年金は65歳から支給が始まりますが、その時点で請求せずに、繰り下げて申出できます(厚年法44条の3、国年法28条)。令和4年4月からは支給開始年齢は66歳~75歳(現在は70歳)の範囲で選択できます。


 1カ月につき年金の支給額が0.7%増額され、75歳に達する月まで10年間請求しなければ、0.7%に10年間の月数である120を乗じて84%増額されます。基礎年金と厚生年金の支給開始時期を別々に選べるので、比較的利便性もあります。


 65歳に達する直前に「年金請求書」というハガキが受給権者に届きます(特別支給の老齢厚生年金受給者の場合)。基礎年金・厚生年金どちらか1つでも65歳から受給したい場合には返送して請求書を提出します。


 年金を増額させたい場合は、特別な申出は不要で、ハガキを返送しなければ繰下げを選択したことになります。




6.助成金情報 ~キャリアアップ助成金(諸手当制度等共通化コース)~

 令和3年度から健康診断制度コースと統合され、また対象となる手当等も改編されています。 有期雇用労働者等に対して、正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設けて適用した場合、または有期雇用労働者等に対する「法定外の健康診断制度」を新たに規定し延べ4人以上実施した場合に支給されます。


対象となる労働者

・諸手当制度を共通化した日または定期健康診断等の受診日の前日より3カ月以上前から、当該日以降6カ月以上、対象事業主に継続して雇用されている有期雇用労働者等であること
・雇入時健康診断受診日以降6カ月以上の期間、当該対象適用事業所において雇用保険被保険者であること
・支給申請日において離職していない者であることなど(本人の責めに帰すべき理由による解雇など除く)
※期間の定めのない雇用契約、1年以上の雇用契約もしくは契約更新により1年以上雇用が見込まれる者、1週間の労働時間が通常労働者の所定の4分の3以上である者等を除く。


事業主の要件

・雇用保険適用事業主
・雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いている
・キャリアアップ計画を作成し、諸手当制度共通化または健康診断を規定する前日までに、管轄労働局長の認定を受けているなど


対象となる手当等の主な要件

A 諸手当制度共通化…以下の①から④(正規雇用労働者には同時かそれ以前から導入)のいずれかを新たに導入し、実際に支給していること。


① 賞与(6カ月分相当として5万円以上支給)
② 家族手当(月額3000円以上)
③ 住宅手当(月額3000円以上)
④ 退職金(月額3000円以上積立て)


B 法定外の健康診断制度…以下の①から③のいずれかを、実施義務のない有期雇用労働者等に実施する制度を就業規則等に規定し、延べ4人以上に実施していること。


① 定期健康診断(事業主が費用の全額を負担)
② 雇入時健康診断(事業主が費用の全額を負担)
③ 人間ドック(事業主が費用の半額以上を負担)


支給額

申請の流れ

キャリアアップ計画の作成・提出(諸手当制度共通化または健康診断制度等の規定の前日まで)
      ⇩
諸手当制度の共通化 または 健康診断制度等の4人以上への実施
      ⇩
諸手当制度の共通化 または 健康診断制度等の実施後6カ月分の賃金の支給
      ⇩
6カ月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2カ月以内の支給申請



7.今月の実務チェックポイント  ~療養(補償)給付について~

 今回は、業務または通勤が原因で労働者が負傷あるいは病気に罹患して療養が必要なときに、労災保険から支給される療養(補償)給付等について説明します。


療養(補償)給付とは

 業務または通勤が原因で労働者が負傷あるいは病気に罹患して療養が必要なときに、労災保険指定医療機関・薬局等(以下「指定医療機関等」といいます)で、無料で治療や薬剤の支給が受けられる現物給付のことをいいます。業務上の災害が原因で支給される場合を「療養補償給付」といい、通勤災害が原因で支給される場合を「療養給付」といいます。療養(補償)給付には、治療費、入院料、移送費など通常療養のために必要とされる費用が含まれ、傷病が「治ゆ」するまで行われます。


「治ゆ」とは

 労災保険において「治ゆ」の概念は非常に重要です。療養(補償)給付においては、「治ゆ」は給付の支給期間の判断の根拠とされます。「治ゆ」とは、次の2つの意味を含んでいます。


① 身体の諸器官・組織が健康時の状態に完全に回復した状態
② 傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態、すなわち回復・改善が期待できなくなった状態(症状固定)


 投薬・理学療法等の治療により一時的な回復が見られるにすぎない場合なども、医療効果が期待できないと判断され、労災保険において「治ゆ」と扱われることがあります。


療養(補償)給付の請求手続

 療養を受けている指定医療機関等を経由して所轄の労働基準監督署に、「療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書」(様式第5号)または「療養給付たる療養の給付請求書」(様式第16号の3)を提出します。被災後は一刻を争うこともあり、様式第5号等の準備ができていないことがほとんどです。この場合は、指定医療機関等を受診した際に業務上災害であることまたは通勤災害であることを伝えると、指定医療機関等から後日様式を提出するよう求められることがありますので、その際は速やかに指定医療機関等に提出しましょう。


注意点

① 様式第5号を作成する際には、「災害の原因及び発生状況」の欄に、「どのような場所で」、「どのような作業をしている際に」、「どのような物または環境に」、「どのような不安全または有害な状態があって」、「どのような災害が発生したか」が理解できるようわかりやすく記載することが重要です。また、負傷または発病年月日と初診日が異なる場合は、その理由についても記載しましょう。


② 近くに指定医療機関等がないなどの理由で、指定医療機関等以外の医療機関や薬局等で療養を受けた場合であって、その療養にかかった費用を被災労働者が一度全額負担した場合は、後日所轄の労働基準監督署に費用の請求を行います。これを、「療養の費用の支給」といいます。療養の費用を請求する場合には、所轄の労働基準監督署に、「療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の費用請求書」(様式第7号)または「療養給付たる療養の費用請求書」(様式第16号の5)を提出します。




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