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外国人を雇用する企業の人事総務向けメールマガジン 2022年01月

メールマガジン 外国人を雇用する企業の人事総務向け
メールマガジン「人事・総務レポート」
2022年01月 Vol.156

1.人事・総務ニュース

フリーランス保護法を早期制定 ~非正規への分配強化にも配慮~

 政府の「新しい資本主義実現会議」は、緊急提言をまとめました。来春の賃金交渉で賃上げに積極的な対応をした企業に対して税制措置を講じ、継続雇用・非正規雇用を含めた全雇用者の給与総額の増加を後押しします。

 

 雇用形態の多様化を踏まえ、新たな「フリーランス保護法制」の早期国会提出も明記しました。フリーランサーが安心して働ける環境を整備するため、事業者との間で取引する際の契約や禁止行為の明確化などを推進します。

 

 大企業と中小企業の共存共栄に関しては、下請Gメンを大幅に増員し、取引適正化のための監督強化を求めました。労務費や原材料費を含むコストの上昇が、適切に反映されるか、状況調査も行うべきとしています。

 

 最低賃金については、中小企業への支援強化と地域間格差の是正に取り組みつつ、早期に全国加重平均1000円を目指すという目標を再確認しました。

 

 緊急提言の内容は、政府の「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」にも反映されています。



派遣「申込みみなし」初適用! ~実質的に偽装請負と認定~

 業務請負で働いていた労働者5人が「労働契約申込みみなし制」の適用を求めた事案で、大阪高等裁判所は直接雇用成立を認めました。同制度の適用を認めた判決は全国初とみられます。

 

 住宅建材の製造販売会社A社は、B社と業務請負契約を結びました。B社雇用の5人の労働者は労働組合を結成し、A社に対し、直接雇用に関する団交を申し入れました。その後、5人はB社を整理解雇され、裁判を提起しました。

 

 派遣法に基づく「労働契約申込みみなし制」は、その名のとおり、偽装請負等の違法派遣を受入れた派遣先が労働契約の申込みをしたとみなし、直接雇用の成立に導く仕組みです(平成27年施行)。

 

 1審の大阪地裁は労働者側の主張を退けましたが、2審の高裁は「A社は具体的な作業手順を指示し、組織的に偽装請負の目的で役務提供を受けていた」と判断しました。

 
連合・2022春闘の方針案決定 ~目標ターゲットは35歳28.9万円~

 連合は、中央委員会で2022年の春闘方針を決定しました。芳野友子新会長が主唱する格差是正へ向け、「底上げ・底支え・格差是正」の要求指標パッケージを明らかにしています。

 

 賃上げ要求については7年連続で、定期昇給2%の確保に加え、2%程度のベースアップを求めます。

 

 「底支え」の取組としては、企業内のすべての労働者を対象として、時給1150円以上の企業内最低賃金協定の締結を目指します。基準を昨年より、50円引き上げました。

 

 格差是正に向けた要求指標に関しては、目標水準を35歳28万9000円、30歳25万9000円としました。2021春闘より、それぞれ2000円、3000円アップさせています。

 

2.職場でありがちなトラブル事情

「机を片付けろ」と無情な解雇通告 ~業績不振で社長が感情暴発~

 損害保険の代理店で働くAさんは、短気な社長の下、日々、怒鳴られながら仕事をしていましたが、顧客からのクレームもなく、まじめに勤務を続けていました。

 

 ある日、社長から「今週いっぱいで机を整理し、来週から出社しなくてよい」などと厳しい口調で退職勧奨を受けました。しかし、「いつものこと」と思い、即答しませんでした。

 

 しかし、退職期限とされていた「翌週」も勤務していたところ、「なぜ、ここにいる。出ていけ」と大声で一喝され、その後は出勤していません。


 突然の解雇に納得がいかないAさんは、会社から誠意のある説明を受けたいと考え、都道府県労働局長の助言・指導を求めました。

従業員の言い分

 一方的な解雇通告の後は、「ハローワークへの手続き」の関係で電話をしても、「二度と連絡するな」というばかりで、まともな話ができません。

 

 このように理不尽な仕打ちをする会社に戻るつもりはないですが、「何の落ち度もない自分が、なぜ職場を追い出されなければいけないのか」という疑問に対し、筋の通った回答を示してほしいと思います。


社長の言い分

 トラブルの発生当時を振り返ると、業績が著しく悪化し、会社の存亡も危ういため、正常な判断力を失っていたように思います。

 

 そうした中で、Aさんに「自主的に退職してもらえないか」という話を持ちかけましたが、言葉遣いが穏当ではなかったかもしれません。しかし、解雇は通告していません。


指導・助言の内容

 当初は、解雇通告をしたかどうかについても両者の主張が対立し、お互いに相手の対応を非難するばかりでした。


 しかし、問題解決の前提として「冷静に意見を交換する」ように促した結果、社長から退職勧奨に至った経緯等について詳細な説明が得られ、それに連れ、Aさんの態度も軟化し、その後、両者は退職に関する具体的な条件に関して話し合うに至りました


結果

 会社が最終月の賃金を支払い、離職票を交付するとともに、「今後の生活保障として30万円を上乗せする」という条件で合意に達しました。



3.厚生労働省「令和3年度・就労条件総合調査」

 企業の収支計画を立てる際、従業員1人を雇用するために、どれだけの費用がかかるのか、その目安を知っておく必要があります。


 就労条件総合調査では、周期的に「労働費用(現金給与額とそれ以外の労働費用の合計額)」を集計しています。


 令和2年(平成31・令和元会計年度)の労働費用総額は40万8140円で、現金給与額とそれ以外の比率は82.0%対18.0%でした。前回調査(平成28年)では80.9%対19.1%だったので、企業は「それ以外」の圧縮により、労働費用総額の低減を図ったことになります。



 「それ以外」の内訳をみると、法定福利費が68.6%を占め、退職給付費用(21.8%)、法定外福利費(6.7%)が続いています。


 前回調査と比べると、法定福利費は59.9%から68.6%にアップしています。法定福利費(労働・社会保険料等)は、その名のとおり法定で料率が引き上げられると、企業サイドは打つ手がありません。


 一方、退職給付費用は23.7%から21.8%に、法定外福利費(住居費用、医療保健の費用等)は8.2%から6.7%にそれぞれ低下しています。企業として工夫ができるのはこうした費用ですが、費用削減のため従業員に負担をしわ寄せした格好です。




4.身近な労働法の解説 ~65歳までの雇用確保〜高年齢者雇用安定法(1)~

 今回は、高年齢者雇用安定法における65歳までの高年齢者雇用確保措置について解説します。


1.高年齢者雇用安定法

 高年齢者雇用安定法は、少子高齢化が急速に進行し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある誰もが年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図る法律です。


2.高年齢者雇用安定法

 現在の方針(令2厚労省告示350号)は、令和3年から7年までの5年間を対象期間とし、「事業主が行うべき諸条件の整備に関する指針」において、次のように掲げています。

(1)募集・採用に係る年齢制限の禁止
(2)職業能力の開発および向上
(3)作業施設の改善
(4)高年齢者の職域の拡大
(5)高年齢者の知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進
(6)勤務時間制度の弾力化
(7)事業主の共同の取組みの推進


3.60歳未満の定年禁止 (8条)

 事業主が定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上としなければなりません。


4.65歳までの雇用確保措置 (9条)

 定年を65歳未満に定めている事業主は、以下のいずれかの措置を講じなければなりません。

(1)定年の引上げ
(2)定年制の廃止
(3)65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入


 継続雇用制度の適用者は原則として「定年後も引き続き働きたいと希望する人全員」です。
「再雇用制度」とは、定年で一旦退職とし、新たに雇用契約を結ぶ制度です。
「勤務延長制度」とは、定年で退職とはせず、引き続き雇用する制度です。


 賃金・人事処遇制度の見直しが必要な場合には、次の事項に留意します(高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針〈平24厚労省告示560号〉の一部抜粋)。


(1)年齢的要素を重視する制度から、能力、職務等の要素を重視する制度に向けた見直しに努めること。
(2)継続雇用制度における継続雇用後の賃金については、継続雇用されている高年齢者の就業の実態、生活の安定等を考慮し、適切なものとなるよう努めること。
(3)短時間勤務制度、隔日勤務制度など、希望に応じた勤務が可能となる制度の導入に努めること。
(4)継続雇用制度において契約期間を定めるときには、65歳までの雇用確保を義務付ける制度であることに鑑み、65歳前に契約期間が終了する契約とする場合には、65歳までは契約更新ができる旨を周知すること。また、むやみに短い契約期間とすることがないように努めること。
(5)職業能力を評価する仕組みの整備とその有効な活用を通じ、高年齢者の意欲および能力に応じた適正な配置及び処遇の実現に努めること。
(6)勤務形態や退職時期の選択を含めた人事処遇について、個々の高年齢者の意欲および能力に応じた多様な選択が可能な制度となるよう努めること。
(7)継続雇用制度を導入する場合において、継続雇用の希望者の割合が低い場合には、労働者のニーズや意識を分析し、制度の見直しを検討すること。


 高年齢者雇用確保措置を講ずるに当たっては、高年齢者雇用アドバイザーの活用を図ると良いでしょう。



5.実務に役立つQ&A

副業兼業で失業したら ~本業を辞めれば給付か?~

 ダブルワークで一方を失業したとき、失業等給付は受給できるのでしょうか。本業を離職して被保険者資格を喪失すれば、失業という解釈になるのでしょうか。


 同時に2以上の雇用関係にある労働者については、原則として生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける雇用関係についてのみ被保険者となります。本業で被保険者のときに副業を離職しても、本業で引き続き勤務すれば「失業状態」でないのは明らかです。


 次に、本業を離職して、副業で勤務し続けたとします。受給資格の決定の際に就職状態にある場合には、受給資格の決定を行うことはできない(雇用保険業務取扱要領)としています。


 仮に、副業の週所定労働時間が20時間以上などで、新たに副業で被保険者資格を取得すれば、ここでいう就職状態です。被保険者となっている期間以外に関しても、実際に就労した日ごとの契約とみなして取り扱うなど、「就職」に該当するパターンは複数あります。


 以上が原則ですが、令和4年1月から、雇用保険のマルチジョブホルダー制度がスタートしています(改正雇保法37条の5)。こちらは65歳以上の高年齢者が希望する場合を対象とし、本業・副業のいずれか離職のケースも給付の対象となります。



6.外国人雇用関連ニュース ~内閣官房 水際対策強化に係る新たな措置令和3年11月29日~

1.オミクロン株(B.1.1.529 系統の変異株)に対する指定国・地域

 水際対策上特に対応すべき新たな変異株のうちオミクロン株(B.1.1.529 系統の変異株)につ いては、本措置に基づき「オミクロン株(B.1.1.529 系統の変異株)に対する指定国・地域」と して別途の指定を行う。


2.外国人の新規入国停止

 「水際対策強化に係る新たな措置(19)」(令和3年 11 月5日)(以下「措置(19)」とい う。)2.に基づく、外国人の新規入国に係る、受入責任者から業所管省庁への申請の受付及び 当該業所管省庁の帰国・入国前の事前の審査を、本年 12 月 31 日までの間停止し、業所管省庁か ら受入責任者に対する新たな審査済証の交付を行わないこととする。本年 11 月 30 日以降、本年 12 月 31 日までの間、この仕組みによる外国人の新規入国を拒否する。


3.有効なワクチン接種証明書保持者に対する行動制限緩和措置の見直し

(1)「措置(19)」1.に基づく、有効なワクチン接種証明書保持者の特定行動に係る、受入責 任者から業所管省庁への申請の受付及び当該業所管省庁の帰国・入国前の事前の審査を、本年 12 月 31 日までの間停止し、業所管省庁から受入責任者に対する審査済証の交付を行わないことと する。


(2)「水際対策強化に係る新たな措置(18)」(令和3年9月 27 日)1.及び2.に基づく措置 を、本年 12 月 31 日までの間、停止する。


4.モニタリングの強化等

 上記1の指定国・地域からの帰国者・入国者について、入国者健康確認センターの健康フォロ ーアップを強化するとともに、変異株サーベイランス体制を強化する。


5.入国者総数の引下げ

 日本に到着する航空便について、既存の予約について配慮しつつ、新規予約を抑制する。


(注1)上記1に基づく措置は、令和3年 11 月 30 日午前0時(日本時間)から行うものとする。

(注2)上記1に基づく指定国・地域については、措置の対象となる国・地域の指定、指定内容の変更及び指定の解除 について、外務省及び厚生労働省において確認の都度、別添の書式で公表することとする。

(注3)上記2に基づく措置は、令和3年 11 月 30 日午前0時(日本時間)から行うものとする。ただし、本年 11 月 30 日午前0時前に外国を出発し、同時刻以降に到着した者は対象としない。

(注4)上記3(1)に基づく措置は、令和3年 11 月 30 日午前0時(日本時間)から行うものとする。

(注5)上記3(1)に基づく措置における、令和3年 12 月1日午前0時(日本時間)以降に帰国・再入国等する者 については「措置(19)」1.に基づく特定行動を認めない。

(注6)上記3(2)に基づく措置は、令和3年 12 月1日午前0時(日本時間)以降に帰国・再入国等する者に適用 参考4する。

(注7)上記4に基づく措置は、令和3年 11 月 30 日午前0時(日本時間)から行うものとする。

(注8)上記5に基づく措置は、令和3年 12 月1日午前0時(日本時間)から行うものとする。


6.オミクロン株に対する指定国・地域
国・地域 指定日 指定の実施開始日時(日本時間)
アンゴラ、イスラエル、イタリ ア、英国、エスワティニ、オース トラリア(ニューサウスウェー ルズ州、北部準州)、オーストリ ア、オランダ、カナダ(オンタリ オ州)、ザンビア、ジンバブエ、 ドイツ、チェコ、デンマーク、ナ ミビア、フランス、ベルギー、ボ ツワナ、マラウイ、南アフリカ共 和国、モザンビーク、レソト 令和 3 年 11 月 29 日 令和 3 年 11 月 30 日午前0時
スウェーデン、スペイン、ナイジ ェリア、ポルトガル 令和 3 年 11 月 30 日 令和 3 年 12 月 1 日午前0時
カナダ(アルバータ州、ケベック 州、ブリティッシュ・コロンビア 州)、韓国、スイス、ブラジル(サンパウロ州)、仏領レユニオン島 令和 3 年 12 月1日 令和 3 年 12 月2日午前0時
アイルランド、ガーナ、ノルウェ ー、米国(カリフォルニア州) 令和3年 12 月2日 令和3年 12 月3日午前0時
インド(カルナータカ州)、ギリ シャ、米国(コロラド州、ニュー ヨーク州、ハワイ州、ミネソタ 州)、ルーマニア 令和3年 12 月3日 令和3年 12 月4日午前0時
インド(マハーラーシュトラ 州)、オーストラリア(首都特別 地域)、米国(コネチカット州、 ネブラスカ州、ペンシルベニア 州、マサチューセッツ州、ミズー リ州、メリーランド州、ワシント ン州) 令和3年 12 月6日 令和3年 12 月7日午前0時
クロアチア 令和3年 12 月7日 令和3年 12 月8日午前0時
アイスランド、インド(ラジャス タン州) 令和3年 12 月9日 令和3年 12 月 10 日午前0時
コンゴ民主共和国、チリ、米国 (ルイジアナ州) 令和3年12月10日 令和 3 年 12 月 11 日午前0時
キプロス、パキスタン、フィンラ ンド、米国(テキサス州、ワシン トン D.C.) 令和3年12月13日 令和3年 12 月 14 日午前0時
エストニア、カナダ(ニューブラ ンズウィック州、ノバスコシア州)、ケニア 令和3年12月14日 令和3年 12 月 15 日午前0時
米国(アリゾナ州) 令和3年12月15日 令和3年 12 月 16 日午前0時
インド(ケララ州)、スロベニア、 レバノン 令和3年12月16日 令和3年 12 月 17 日午前0時
タンザニア 令和3年12月17日 令和3年 12 月 18 日午前0時


7.今月のコラム ~「特定技能」で、全14業種が「特定技能2号」へ移行可能に~

2021年1月18日、松野博一官房長官「特定技能2号」の対象職種を拡大の検討を進めていると述べました。


朝日新聞   https://www.asahi.com/articles/ASPCL4GFDPCLUTFK00Q.html
日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODL17B9O0X11C21A1000000/


 「特定技能1号」は更新が可能ですが滞在期間は5年間と定められています。しかし、「特定技能2号」への移行が可能となれば、在留期限に制限はなく、永住権の取得も可能と言われています。


 「特定技能1号」と「特定技能2号」はそれぞれ業種により区分されてり、前者は現在14業種が認められており、後者は2業種のみとなっています。今回の発表では、2業種のみとなっている「特定技能2号」の業種を1号と同じく14業種にまで拡大するとのことです。



 この方針が実施された場合には、今後、海外から労働者として入国する外国人が増加し、さらにはそのまま日本に定住することも予想され、その場合にはメリットとデメリットが考えられます。以下にまとめたのは、移民を積極的に受け入れたヨーロッパ諸国で起きた事象をまとめたものです。もちろん、法的にも制度としても特定技能での外国人労働者の受け入れは、移民の受入れとは異なりますが参考にはなるかと思います。



 これらをメリットとして捉えるか、デメリットと捉えるか、日本社会と雇用企業の国際化への姿勢が問われる日が近づいているようです。

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